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放送家・小林希の世界ひとり旅コラム 放送家・小林希の世界ひとり旅コラム

第3回 ひとり旅のごはん ヨーロッパ編

第3回 ひとり旅のごはん ヨーロッパ編

ヨーロッパのひとり飯を楽しむ3つのこと

第3回 ひとり旅のごはん ヨーロッパ編
「ほうら、とびきりのハートだよ!」と、テーブルの真ん中にどしんと置かれたお皿には、透き通るグリーンのオリーブオイルが湖のようになって、その上に濃厚そうなバルサミコ酢で「LOVE♡」と描かれていた。これに、バケットのパンをつけて食べると、美味しいのだ。

イタリアのローマを旅していたときのこと。午後1時近くになり、いい加減にお腹が空いたので、いよいよランチをしようと、パンテオン神殿近くの小径を彷徨って、レストランに入った。テラスに座る。ちょっと活気のあるイタリアンレストランだ。周りには、家族や夫婦、友人同士が銘々テーブルを囲って、ランチを楽しんでいた。

ひとり旅は気楽でいいけれど、時として孤独にぶちあたる。私の場合、それはとくに昼食か夕食を食べる時だ。正確には、孤独感よりは、申し訳ない感情のほうが強い。ヨーロッパはとかく、一人でご飯を食べている人を見かけることが少なかった(スペインのバル文化は別として)。だから、貴重な二人席を一人で使うことに、多少の罪悪感も芽生えてしまう。

第3回 ひとり旅のごはん ヨーロッパ編
その点、アジアや中南米は、屋台やローカル食堂など、相席も当たり前だし、文化や習慣的に一人でふらっとご飯を食べて帰る地元の人や、旅人が多かった。一皿食べて、次の食堂へと、何軒かハシゴするのも嬉々としてやっていたものだ。

それが、ヨーロッパに来てからは、どうも気まずい(やっぱりスペインは別として)。いわゆる、格式の高いレストランや混んでいる人気店などでは、一人で入ると露骨に嫌な顔もされた。とはいえ、せっかくならば、美味しい食事をしたいではないか!

そこで、ある程度自分なりに心地よく、孤独も感じず食事ができる方法をみつけた。一つ目は、「時間をずらす」。ランチタイムは当然、忙しく、店員さんも余裕がない店も多い。日本のホスピタリティに慣れていた私だけど、そんなもの求めても仕方がないことに気づいた。混雑時を避け、ランチタイムよりちょっと早くか、ちょっと遅く行く。そうすると、わりとにこやかに迎え入れてくれる。

第3回 ひとり旅のごはん ヨーロッパ編
二つ目は、「店員が多めの店にいく」。これも当たり前なのだけど、人が多いほうがよく見てくれているのだ。下手したら、暇を持て余した店員さんが、やたらとフレンドリーに声をかけてくれる。三つ目は、「昨日と同じ店にいく」。もちろん美味しかったり、雰囲気がよければ。二度行けば、さすがに店員さんも、「やあ!」って、多少混んでいても笑顔をくれたりする。

そうしてイタリアのレストランでは、「一人でどこから?」と、「LOVE♡」を運んでくれた店員さんに声をかけられた。「日本だよ」「わーお。一人? クールだね!」そう言って、てんこ盛りのパスタ、カチェ・エ・ぺぺを、またしても、テーブルの真ん中にどしんと置いて、「ワインはどう?」と聞いてくれるのだった。うーん、明日もまた、行こうかな。
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プロフィール

小林 希
小林 希
1982年生まれ、東京都出身。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆活動をしている。また、瀬戸内海の讃岐広島に「ゲストハウスひるねこ」をオープンするなど、島プロジェクトを立ち上げ、地域おこしに奔走する。 著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)や『世界の美しい街の美しいネコ』『日本の猫宿』(ともにエクスナレッジ)、『週末海外』(ワニブックス)など多数。女性誌『CLASSY』で連載中。 現在世界60カ国、日本の離島80島をめぐる。

『 みんなで旅するオンラインサロン しま、ねこ、ときどき海外』(https://id.sankei.jp/tabicom/)
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週末海外

そのパスポート、使っていますか?社会人になってから、海外旅行なんて、行けるわけない…。そう諦めていませんか?
土日に、3連休に、有休を使って4・5連休に行ける至極の海外都市を旅作家がご紹介!28の街で観たい、食べたい、やりたいことを抑えておけば週末だけでも、最高で濃密な旅ができる。

恋する旅 女、世界をゆく ――29歳、会社を辞めて 旅に出た (幻冬舎文庫)

29歳で会社を辞め世界放浪の旅に。結婚や出産という女の転機を迎える30歳を前に、自分らしく生きることを決めた。会社を辞めた夜、「旅で素敵な女性になるのよ! 」と言ってバックパックを背負い家を出た著者は、時に贅沢を楽しみながらも、各地で泣き、笑い、疾走する。やがて訪れた心の変化とは? 瑞々しい感性で描かれる新感覚旅行記!

世界の美しい街の美しいネコ

夏になれば50度にもなるというチュニジア中央部の古都ケロアン。南下して行けばサハラ砂漠だからか、乾いた風にはどこか砂が混じり込んでいる。美しい旧市街は白い建物が迷路のような道をつくりだし、太陽の光が当たればその道は目映くなる。目映い日差しのなか、ヒジャーブという布を頭に巻いたイスラムの女性や、チュニジア式ドアの前で昼寝している猫たちと遭遇すると、異国情緒が最高に高まる。とにかく猫が多く、道を曲がれば猫に当たるし、基本的にのんびり寛いでいる。ケロアンにはシディ・サハブ霊廟という7世紀に建てられた霊廟があり、現在はモスクや神学校を併設している。アラブ諸国の中でもっとも美しいと言われるほど、素晴らしいイスラミック芸術を堪能できる奇跡の街。その場所で1時間はうっとりと猫も芸術も鑑賞できるだろう。

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