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放送家・小林希の世界ひとり旅コラム 放送家・小林希の世界ひとり旅コラム

第1回 ひとり旅の宿 アジア編

ひとり旅の宿 アジア編

メリハリをもった宿選びで、旅を面白く印象的にする

メリハリをもった宿選びで、旅を面白く印象的にする
世界放浪の旅に出たとき、これほど宿で過ごした時間が、強烈に旅の記憶に残っているとは思わなかった。

宿は、休むところであり、同時に旅人や現地人との交差点なのだ。
そう思うのは、アジアを旅している時のこと。インドネシア、マレーシア、ミャンマー、タイ、ラオス、インドなど、おおよそ3ヶ月をかけて、言葉とおり駆け巡った。ドミトリー専門の安宿、ゲストハウス、中級ホテル、リゾートホテル、さまざまなタイプの“宿”を選びながら。宿には選び方がある。
メリハリをもった宿選びで、旅を面白く印象的にする
安く済ませたいという理由だけでなく、旅人と出会い、情報交換をしたいなら、安宿やゲストハウスがいい。現地のスタッフのみならず、東西南北から、生まれも育ちも異なる旅人たちが一点に集う宿は、異国の風が吹き溜まる交流の宝庫、交差点なのだ。

ミャンマーの安宿では、韓国人やカナダ人の旅人と出会い、一緒に移動し、語り、飲み明かした。宿を出る日の朝、スタッフのミャンマー人に、はにかみながら「忘れないで」と別れの言葉をもらった。もう二度と会えないかもしれない、だからこそ、この瞬間が愛おしい。
宿には、出会いと別れを繰り返す人生の切なさと喜びが、ぎゅっと集約されている気がする。
メリハリをもった宿選びで、旅を面白く印象的にする
一方で、移動に疲れ、人に疲れれば、物価の安い国で中級ホテルやリゾートホテルなどに滞在して、一人静かな時間を過ごせばいい。

ここで、一度旅の整理整頓をすることも大事だと思う。移りつづける旅人にとって、24時間インプットの連続となるのだから、五感は震えっぱなしで、心は大きくさざなみたち、当然息継ぎがしたくなる。いちいち感動する裏側には、計り知れない疲労も襲ってくるのだ。「休息」のありがたさや意味を、本質的に知ったのも旅先だった。ある日、ラオスの宿で、メコン川を眺めながら日記を書いた。異国で感じたこと、異文化への敬意、数々の出会い、遠い日本のこと、そしてひとり旅の孤独感も吐き出した。静寂な、旅のカタルシスをゆっくりと体験した。

あのバルコニーで見た夕暮れは、今も忘れない。限らせた予算のなかで、安宿か、ちょっと奮発して中級以上の宿にするか、そのメリハリは長い旅路における「鍵」となる。安く、1日でも長い旅を続けるよりは、自分の“状況”に応じて、メリハリよく宿を選ぶ。結果的に、宿の一つひとつが記憶にとどまり、今もこうして、時折思い出すことになるだろう。
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プロフィール

小林 希
小林 希
1982年生まれ、東京都出身。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆活動をしている。また、瀬戸内海の讃岐広島に「ゲストハウスひるねこ」をオープンするなど、島プロジェクトを立ち上げ、地域おこしに奔走する。 著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)や『世界の美しい街の美しいネコ』『日本の猫宿』(ともにエクスナレッジ)、『週末海外』(ワニブックス)など多数。女性誌『CLASSY』で連載中。 現在世界60カ国、日本の離島80島をめぐる。

『 みんなで旅するオンラインサロン しま、ねこ、ときどき海外』(https://id.sankei.jp/tabicom/)
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週末海外

そのパスポート、使っていますか?社会人になってから、海外旅行なんて、行けるわけない…。そう諦めていませんか?
土日に、3連休に、有休を使って4・5連休に行ける至極の海外都市を旅作家がご紹介!28の街で観たい、食べたい、やりたいことを抑えておけば週末だけでも、最高で濃密な旅ができる。

恋する旅 女、世界をゆく ――29歳、会社を辞めて 旅に出た (幻冬舎文庫)

29歳で会社を辞め世界放浪の旅に。結婚や出産という女の転機を迎える30歳を前に、自分らしく生きることを決めた。会社を辞めた夜、「旅で素敵な女性になるのよ! 」と言ってバックパックを背負い家を出た著者は、時に贅沢を楽しみながらも、各地で泣き、笑い、疾走する。やがて訪れた心の変化とは? 瑞々しい感性で描かれる新感覚旅行記!

世界の美しい街の美しいネコ

夏になれば50度にもなるというチュニジア中央部の古都ケロアン。南下して行けばサハラ砂漠だからか、乾いた風にはどこか砂が混じり込んでいる。美しい旧市街は白い建物が迷路のような道をつくりだし、太陽の光が当たればその道は目映くなる。目映い日差しのなか、ヒジャーブという布を頭に巻いたイスラムの女性や、チュニジア式ドアの前で昼寝している猫たちと遭遇すると、異国情緒が最高に高まる。とにかく猫が多く、道を曲がれば猫に当たるし、基本的にのんびり寛いでいる。ケロアンにはシディ・サハブ霊廟という7世紀に建てられた霊廟があり、現在はモスクや神学校を併設している。アラブ諸国の中でもっとも美しいと言われるほど、素晴らしいイスラミック芸術を堪能できる奇跡の街。その場所で1時間はうっとりと猫も芸術も鑑賞できるだろう。

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