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放送家・小林希の世界ひとり旅コラム 放送家・小林希の世界ひとり旅コラム

第4回 街を彷徨えばこそ、街歩き〜北アフリカ/チュニジア編

街を彷徨えばこそ、街歩き〜北アフリカ/チュニジア編

世界放浪をしたとき、13ヶ月間の約3ヶ月は、北アフリカのチュニジアに滞在していた。日本から、遥か遠い地にたどり着いたという感慨深さもあれば、イスラミックな建造物や市場を行き交うムスリムたちのざわめき、1日5回流れるアザーンなど、それはそれは、異国情緒が半端なかった。ただ街を歩いているだけで、旅情に浸れてよかった。ヨーロッパやアジアのように、想像力が追いつく範囲の異国感とは一線を画す、すべてが心ざわめく異国っぷりだった。同じ北アフリカのモロッコもそうだけど、街歩きというより「街を彷徨う」のがしっくりくる国なのだ。
とはいえ、ひとり旅で異国の街を歩く場合、始めは何か目的地を決めるといいと思う。たとえば、美術館や有名建築家の建築を観に行くとか、ミシュラン星付きのレストランに行ってみるとか、雑貨を買いに行くとか。目的地を拠点に、宿を決めることもできるし、目的地まで行く途中で素敵な店やアートスポットなどに出くわすこともある。でも、そこで目的を果たしたからといって、すぐ次の街に移動するのではもったいない!
チュニジアでも、「もうすることないな〜」と思ったあとが楽しかった! スーク(市場)に行って、ふらふら商品を眺めていたら、ナツメヤシを売っているおじさんが「ひとつ食べてみなよ」と試食させてくれたり、猫が多くいる場所を発見したり、「どこから来たの?」とムスリムの女の子たちに興味津々で聞かれたり。あてもなく歩いたら、いい出会いがたくさんあった。

ところで、短期でいく旅だと、ある程度観光地や有名な街であることのほうが多いだろうから、観光案内所や駅、バス停、ホテルなどで、街の紙マップを入手しやすい。だけど長期の旅となると、ガイドブックに載っていないような街に行ってみることや、マップを用意していない街を訪れることがある。今は、Google MAPや、オフラインでも使えるmaps.meなどのアプリがあって、紙のマップがなくても大抵は問題ない。でも、知らない街だし、恐怖はいつもある。そういうときは、地元の“おばちゃん”に声をかけよう。心もとない女子が困っていたら、全力で助けてあげたいと思うのが、世界の“おばちゃん”だと、今でこそ断言できる。

チュニジアをはじめ、モロッコやエジプトなどムスリムの国は、テロや治安の悪さが心配されるけど、それは今、世界のどこにでもあることだと思う。だから、街歩きには、まわりをよく観察することが必要となる。地元の女性や子供達が行き交うところなら、おそらく避けるべきエリアではないと思う。
十分によく見て、そしてあてもなく街を「旅」してみよう! 目的がなくても、彷徨うことが、本当の意味の街歩きであり「旅」だと感じている。
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プロフィール

小林 希
小林 希
1982年生まれ、東京都出身。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆活動をしている。また、瀬戸内海の讃岐広島に「ゲストハウスひるねこ」をオープンするなど、島プロジェクトを立ち上げ、地域おこしに奔走する。 著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)や『世界の美しい街の美しいネコ』『日本の猫宿』(ともにエクスナレッジ)、『週末海外』(ワニブックス)など多数。女性誌『CLASSY』で連載中。 現在世界60カ国、日本の離島80島をめぐる。

『 みんなで旅するオンラインサロン しま、ねこ、ときどき海外』(https://id.sankei.jp/tabicom/)
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週末海外

そのパスポート、使っていますか?社会人になってから、海外旅行なんて、行けるわけない…。そう諦めていませんか?
土日に、3連休に、有休を使って4・5連休に行ける至極の海外都市を旅作家がご紹介!28の街で観たい、食べたい、やりたいことを抑えておけば週末だけでも、最高で濃密な旅ができる。

恋する旅 女、世界をゆく ――29歳、会社を辞めて 旅に出た (幻冬舎文庫)

29歳で会社を辞め世界放浪の旅に。結婚や出産という女の転機を迎える30歳を前に、自分らしく生きることを決めた。会社を辞めた夜、「旅で素敵な女性になるのよ! 」と言ってバックパックを背負い家を出た著者は、時に贅沢を楽しみながらも、各地で泣き、笑い、疾走する。やがて訪れた心の変化とは? 瑞々しい感性で描かれる新感覚旅行記!

世界の美しい街の美しいネコ

夏になれば50度にもなるというチュニジア中央部の古都ケロアン。南下して行けばサハラ砂漠だからか、乾いた風にはどこか砂が混じり込んでいる。美しい旧市街は白い建物が迷路のような道をつくりだし、太陽の光が当たればその道は目映くなる。目映い日差しのなか、ヒジャーブという布を頭に巻いたイスラムの女性や、チュニジア式ドアの前で昼寝している猫たちと遭遇すると、異国情緒が最高に高まる。とにかく猫が多く、道を曲がれば猫に当たるし、基本的にのんびり寛いでいる。ケロアンにはシディ・サハブ霊廟という7世紀に建てられた霊廟があり、現在はモスクや神学校を併設している。アラブ諸国の中でもっとも美しいと言われるほど、素晴らしいイスラミック芸術を堪能できる奇跡の街。その場所で1時間はうっとりと猫も芸術も鑑賞できるだろう。

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