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放送家・小林希の世界ひとり旅コラム 放送家・小林希の世界ひとり旅コラム

第2回 ひとり旅の移動 南米編

第2回 ひとり旅の移動 南米編

バス旅を楽しむコツ

バス旅を楽しむコツ
世界を駆け巡るには、当然飛行機に乗ってお目当ての街にいく。そこから、さらにほかの町へと移動を始めるのだけど、これが結構思い通りにはいかない。まず、鉄道のない国も多い。小さい街には当然空港もない。もちろん、タクシーは日本よりは安いとしてもそれなりになるし、車を運転するわけにはいかない。そうなると、圧倒的に利用するのはバスとなる。

南米大陸をペルーからブラジルまで、南下する形で7カ国を3ヶ月要して旅したときは、ほとんどが、「飛行機→バス移動」の繰り返しだった。しかも、広大な南米大陸は、街から街へのバス乗車時間が半端ではない。軽く20時間乗っていたりする。バスの種類もさまざまで、板のような椅子に座って隙間風と戦いながらのワイルドなローカルバスもあれば、椅子がふかふかで、驚くほどぐいっと背もたれを倒せるバスもあるし、映画が見れたり、飲食がついてきたり、乗務員のサービス付きのラグジュアリーバスもある。

バス旅を楽しむコツ
ブラジルは、基本的に飛行機とバスがメインの国で、ときに、「ええ、バスのほうが飛行機より高い!」ということもあるけれど、乗車時間の長さを除けば、「まあ、(飛行機の)ファーストクラス級だからね」と思える最高のコンディションで乗れるのがいい。一方、ペルーやボリビアなんかは、道が悪く、タテタテヨコヨコの振動を余儀なくされるところもある。南米では、その街によって、天使と悪魔のどちらが待っているかわからないドキドキが常にあるけれど、それも絶賛、「いい思い出だな〜」ってなるもんだ。

長時間のバス移動で役に立つのは、イヤホン(イビキのうるさい人がいたら対処もできる)。事前にダウンロードしたラジオや音楽を聴くと暇つぶしになるし、本のように酔うこともない。バスの空調は体感の違う現地人が調整しているので、着脱できるようにしておくと安心。とくにコンパクトに収まるダウンなんかは、不要であれば腰にあて、寒くなれば着ればいいので便利。荷物にはなるけれど、ネックピローもあると、ほんとうは便利。

バス旅を楽しむコツ
余談だけれど、バスに乗る前や休憩ポイントで、私は必ずお菓子も買っちゃう。食べているとけっこう気が紛れるし、なんなら隣の人と交換してコミュニケーショをとったり、なかなかの優れもの!

「それで、治安は?」というと、簡単な方程式がある。どっこい、「高いバス=安心」「安いバス=不安」である。恐ろしい話もあるもので、旅をしてよく耳にしたのは、「安いバスは強盗に襲われる」という話。もちろんほとんどが問題ないのだけど、それぞれの国のバスがべらぼうに高いわけではないし、安全を買う意味でなるべく「高くて、いいバス」に乗ることを(とかく女子には)オススメしたい。長距離移動となると、深夜バスの利用も多くなるから、一泊分するつもりで。安心を買ったうえでのバス旅であれば、あとは外を眺め、刻一刻と変わる空の色、異国の街並み、雄大な自然の景色が移ろいゆく時間を、心から楽しむことができるはず。バスの時間も、大切な旅の時間であることを忘れないで、楽しもう!
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プロフィール

小林 希
小林 希
1982年生まれ、東京都出身。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆活動をしている。また、瀬戸内海の讃岐広島に「ゲストハウスひるねこ」をオープンするなど、島プロジェクトを立ち上げ、地域おこしに奔走する。 著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)や『世界の美しい街の美しいネコ』『日本の猫宿』(ともにエクスナレッジ)、『週末海外』(ワニブックス)など多数。女性誌『CLASSY』で連載中。 現在世界60カ国、日本の離島80島をめぐる。

『 みんなで旅するオンラインサロン しま、ねこ、ときどき海外』(https://id.sankei.jp/tabicom/)
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週末海外

そのパスポート、使っていますか?社会人になってから、海外旅行なんて、行けるわけない…。そう諦めていませんか?
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恋する旅 女、世界をゆく ――29歳、会社を辞めて 旅に出た (幻冬舎文庫)

29歳で会社を辞め世界放浪の旅に。結婚や出産という女の転機を迎える30歳を前に、自分らしく生きることを決めた。会社を辞めた夜、「旅で素敵な女性になるのよ! 」と言ってバックパックを背負い家を出た著者は、時に贅沢を楽しみながらも、各地で泣き、笑い、疾走する。やがて訪れた心の変化とは? 瑞々しい感性で描かれる新感覚旅行記!

世界の美しい街の美しいネコ

夏になれば50度にもなるというチュニジア中央部の古都ケロアン。南下して行けばサハラ砂漠だからか、乾いた風にはどこか砂が混じり込んでいる。美しい旧市街は白い建物が迷路のような道をつくりだし、太陽の光が当たればその道は目映くなる。目映い日差しのなか、ヒジャーブという布を頭に巻いたイスラムの女性や、チュニジア式ドアの前で昼寝している猫たちと遭遇すると、異国情緒が最高に高まる。とにかく猫が多く、道を曲がれば猫に当たるし、基本的にのんびり寛いでいる。ケロアンにはシディ・サハブ霊廟という7世紀に建てられた霊廟があり、現在はモスクや神学校を併設している。アラブ諸国の中でもっとも美しいと言われるほど、素晴らしいイスラミック芸術を堪能できる奇跡の街。その場所で1時間はうっとりと猫も芸術も鑑賞できるだろう。

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